伊藤です、

「リプラウドという言葉は
 どういう意味ですか?」

と時々聞かれることがあります。

リプラウド(Reproud)とは
Re+proudからなる造語で、
2005年に頭の中に浮かびました。

『再び(Re) 誇りをもつ(proud)』
という意味です。

この言葉は次のように生まれました。

通所リハビリ事業所で働いてた頃、
ある癌の末期と診断された男性
Mさんがいました。

その方の願いは

「亡くなる前まで動いていたい、
 運動していたい」

でした。

家族が主治医に相談したところ、
「こんな状態で運動なんか無理だ」
と言われたそうです。

私も電話を通して
「血液検査の数値を見ても
 運動が難しいことはわかるだろう!」
と強めの口調で言われました。

それでも家族は

「こう言われたのですが、
 本人が望むようにしてあげたい」

と話しています。

私は主治医のもとへ行き、
本人の意思を尊重していただくことは
難しいのかダメ元で話しました。

電話では厳しい口調の先生も、

膝を突き合わせてお話すると、
「こういうことに気をつけてくれ」
と穏やかに検査データや体調を
細かく教えてくれました。

医師としては命を守るのも
仕事の1つ。

この先生も悩んだかもしれません。

運動を続けられるようになった
Mさんは運動する度に
「ありがとう、ありがとう」と
頷きながらおっしゃってくれました。

しかし、

日を追う毎に弱くなっていくのは
周りの人もMさんも分かります。

運動を終えてドカッと椅子に座り、
目を瞑っているMさんを見ると
正直、泣きそうになる時もありました。

今でもその当時を思い出すと
胸が締まる感じがします。

それでもMさんはどこか嬉しそうでした。

体調が変わって他界された数日後に
ご家族が挨拶に来てくださったのですが、
その時の言葉は今でも忘れられません。

「父の願いを叶えられて良かった。
 ありがとうございました。」

この時、頭に浮かんだのが
『再び誇りをもつ(Reproud)』
という言葉です。

「もう動いてはいけないのか…」

とドン底に落とされたような状態から
再び上を向く切っ掛けをつくる。

「自分はダメだ」という自己否定から
新たな自己肯定感や自己効力感を
取り戻す環境をつくる。

あの時諦めていたら

「亡くなる直前まで動いていたい」
というMさんの願いと誇りも、

ご家族の
「Mさんの願いを叶えたい」
という願いと愛情も
守れなかったと思います。

「私はこうやって生きたいんだ」
「誰かの役にたっていたいんだ」

そんな想いをもう一度取り戻す。

その切っ掛けや環境づくりが
できればと思っています。


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