児童センターでボッチャをすると何が起きるか?

著者:reproud

児童センターでボッチャをすると何が起きるか?

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伊藤です。

5月18日(土)の午前中、仙台市内にある某児童センターでパラリンピックの競技でもあるボッチャの体験会を子どもたち向けにやってきました。

最初に「ボッチャを知ってる人〜」と聞いてみると、手を挙げたのは2人だけ。

その2人に「やってるところ実際みたことある?」と聞くと二人とも首を横に振っていましたから、ほぼ全員がボッチャ初体験ということになります。最近はオリンピック・パラリンピックの話題があちこちで出ていますので、「パラリンピックでやるスポーツってどんなだろう?」と気になっている子どもたちは多いのかもしれません。

まずは全体のイメージを知ってもらうために競技の様子や簡単なルール説明、いろんなボールの投げ方を1つの動画にまとめて見てもらいました。

すると、最初は表情の硬かった子たちに少しずつ笑顔が見え始め、味方や相手のボールに当てる投げ方の映像が流れると「うわー」とか「すごい!」という声も出始めました。その声は子どもたちのみならず、後ろで一緒に見ていた親御さんや児童センターの先生方からも。
(どちらかというと、大人のほうが興味津々だったかも)

なんとなくイメージを掴んでもらったら、あとは実践しながら学習。

「ちょっと重いから気をつけてね」と一人ひとりにボールを持ってもらうと、低学年の子に「ホントだ、ちょっと重い」という子がいれば、「え〜、そんなに重くないよ〜」という高学年の子まで感想はバラバラ。1年生から4年生までいて、体格も体力も違いますから当然です。

ただ、いざボールを転がしてみると、あまり転がらなかったり逆に転がりすぎてしまったりと良い意味でギャップが生まれたようです。

このギャップが『うまくできるようになりたい』という意欲を掻きたてます。

この頃には笑顔や笑い声が増え、ボールを転がしてはボールを取りに行ってを繰り返したので「喉が乾いた」と水を飲みにいく子も出始めます。「やり方によって意外と運動量も確保できるんだね」と児童センターの先生から感想もありました。

そして何度かボールを転がす練習を終えた後いよいよ試合。

赤チームと青チームに分かれ、一人1回はマトとなる白いボール(ジャックボール)を投球できるようにルールをちょっと変更しました。

そうすることによって、低学年で遠くまでボールを転がせない子も自分でジャックボールを投げたときは同じ感覚でボールを近づけることができます。実際、ピタッとくっつけて周りの大人やチームメートから拍手を貰う場面も。キョトンとしながらも、ちょっと照れくさそうに笑う顔が印象的でした。

回を重ねるごとに少しずつうまくなると楽しさも感じられますが、スポーツに付き物なのが点数や勝ち負け。勝負にあまりこだわらない子もいれば、「やるからには負けたくない」という子もいるわけです。これはどこに行ってもあります…。

全試合が終わって泣いてる子もいましたが、最後に子どもたちを集めて座り、次のことを話しました。

・最初からうまくできる人はなかなかいない
・うまくなるにはどうしたらいい?としつもんをする
 →「練習する」という返答が子どもからあり
・ボッチャは速く走ったり、高くジャンプしたりできなくても一緒にできるスポーツ
・車いすに乗っている人も、みんなのような子どもも、おじいちゃんおばあちゃんも一緒にできるスポーツ
・来年はパラリンピックでもやるから、面白いと思ったらテレビなどで見てみて
 →「うん、見るよ」という声が出る

私たちリハビリテーション体育士は、ただスポーツをやってみよう、楽しくできたねというところで基本的には終わりにしません。参加する方々の特性にもよりますが、運動やスポーツを通して自分の内外に関心をもつキッカケを作り、意欲や行動の変化につなげます。

「今回参加した子たちの中にも何か芽生えてくれたら」と思っていると、さっそくその日の午後に変化があったようです。

お昼御飯を食べた後また子どもたちが児童センターに戻ってきて、運動の得意な子と運動の苦手な子が一緒に砂場で遊んでいたというのです。普段は人数が多いので異学年と遊ぶ環境をあまりつくれないようなのですが、ボッチャで1年生から4年生まで協力しながらゲームをしたのが楽しかったのか、午後も一緒に遊んでいたと教えてくれました。

また、運動の苦手な子が迎えにきた親に第一声で「ボッチャ楽しかったー」と伝えたり、あまり走らない子が外に出て走って遊んでいたということもあったようです。

児童センターの先生からは「これまでの土曜行事であんなに盛り上がったのは初めてです」と。観ている大人も楽しんでましたからね(ホントは大人がやりたくてウズウズしていたかも!?)

それから、進め方で次のことが勉強になったという声もいただきました。

・作った道具がユニバーサルデザインになっていた
・居場所を定めてあげることが大事だと気づいた
・視覚化して説明することで、子どもたちが説明をきちんと聞いていた
・障がいのある方について触れてくださったのもよかった

障がいがある人のリハビリを拡充する手段として始まった『障がい者スポーツ』は、様々な身体特性があっても健康増進や楽しみを享受できるための『アダプテッドスポーツ』へと進化してきました。

そして近年は、障害の有無だけでなく体力差があっても一緒にできる『ユニバーサルスポーツ』として広がりをみせています。

子どもの体力低下や運動能力差が指摘される現代ですが、「わたしにもできる!」「ボクもチームのためになってる」と感じられるアレンジされたスポーツは、次世代を担う子どもたちの心身と社会性形成に役立つと思っています。


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