3.リハビリテーションは「権利の回復」

リハビリテーションと聞くと、『麻痺などの障害そのものを回復させること』だと思う方が少なくないでしょう。しかし、決してそれだけではありません。

リハビリテーションの本来の意味は『人間の権利・資格・名誉の回復』という、全人格にかかわるもので、人間らしく生きる権利を回復することです。残っている能力を広げる一方、できないことは他者にサポートしてもらえる環境をつくり、たとえマイナス要因が残っても困らないようにすることが目的です。

< リハビリテーションの視点(伊藤) >
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 具体的には…
1.病気や形態障害に対して:痛みの緩和、関節の可動域維持、筋力強化など
2.能力低下に対して:食事や入浴など生活行為の再獲得、道具の利用、環境整備など
3.社会参加に対して:訪問支援、他者との交流、就職、地域住民による障害の理解など
4.生きがいへの援助:役割や仕事・趣味の再獲得など

このように、リハビリテーションとは多くの人が経験していることを他者の力も借りながら、本人の責任において実行する権利を回復することです。

決して、訓練をして元の状態に戻るとは限らないのです。『できること』と『できないこと』を知り、持っている能力を引き出して『できること』を増やす一方、『できないこと』に対しては、どのような援助が必要なのか知ることが重要です。

また、リハビリテーションは時間を限定したものです。

今後の人生をリハビリの名のもとに過ごしていくことは、権利を回復しないまま生きていくことと言えなくもありません。

「では、体力が落ちないように自分で運動することは何なのか?」
「関節が固くならないように動かしてもらうことは何なのか?」

という声もありそうですが、自分が「こうしたい」「こういう状態を維持したい」と思う時にそれができる状況になっていれば、それは『健康を維持するための活動』です。

ポイントは、やっている、もしくはやろうとする活動と自分の感情の間に摩擦があるかどうかです。リハビリテーションの段階と健康維持の活動の違いは次のような感じです。

リハビリテーション中
・「肘の関節はもう少し伸びそうだ。でも、まだその状況に至っていない。」
・「自分はあそこに歩いていくだけの体力がまだない。だから練習しよう。」
・「こうしたいと私は思うけど、まだそれを周りの人に理解してもらえない。」

健康維持の活動
・「この活動を続けていれば、関節が固くならずにすむ。」
・「あそこに行けば、歩行能力を維持できるだけでなく、あの人と話しができる。」

今、自分が感じている状況がどちらに近いか認識してみてください。
何かを変えるには、まず認識することから始まります。

→ ④体育って運動することじゃないの?

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